- 讲师:刘萍萍 / 谢楠
- 课时:160h
- 价格 4580 元
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というのが使いの伝える僧都の挨拶だった。
「今月の十幾日ごろから私は瘧病にかかっておりましたが、たびたびの発作で堪えられなくなりまして、人の勧(すす)めどおりに山へ参ってみましたが、もし効験(ききめ)が見えませんでしたときには、一人の僧の不名誉になることですから、隠れて来ておりました。そちらへも後刻うかがうつもりです」
と源氏は惟光にいわせた。それからまもなく僧都が訪問して来た。尊敬される人格者で、僧ではあるが、貴族出のこの人に、軽い旅装で会うことを源氏はきまり悪く思った。二年越しの山籠(ごも)りの生活を僧都は語ってから、
「僧の家というものは、どうせみな寂しい貧弱なものですが、ここよりはすこしきれいな水の流れなども庭にはできておりますから、お目にかけたいと思うのです」
僧都は源氏の来宿を乞(こ)うてやまなかった。源氏を知らないあの女の人たちに、たいそうな顔の吹聴(ふいちょう)などをされていたことを思うと、しりごみもされるのであるが、心をひいた少女のこともくわしく知りたいと思って、源氏は僧都の坊へ移って行った。主人の言葉どおりに庭の作り一つをいっても、ここは優美な山荘であった。月はないころであったから、流れのほとりに篝(かがり)を焚(た)かせ、燈籠(とうろう)を吊(つ)らせなどしてある。南向きの室を美しく装飾して、源氏の寝室ができていた。奥の座敷からもれてくる薫香(くんこう)の匂いと、仏前に焚かれる名香の香が入りまじってただよっている山荘に、新しく源氏の追風が加わったこの夜を、女たちも晴れがましく思った。
僧都は人生の無常さと来世のたのもしさを源氏に説いて聞かせた。源氏は自身の罪の恐ろしさが自覚され、来世で受ける罰の大きさを思うと、そうした常ない人生から遠ざかった、こんな生活に自分もはいってしまいたいなどと思いながらも、夕方に見た小さい貴女が心にかかって、恋しい源氏であった。
「ここへ来ていらっしゃるのはどなたなんですか、その方たちと自分とが因縁(いんねん)のあるというような夢を私は前に見たのですが、なんだか今日こちらへうかがって謎(なぞ)の糸口を得た気がします」
と源氏がいうと、
「突然な夢のお話ですね。それがだれであるかをお聞きになっても、興がおさめになるだけでございましょう。前の按察使(あぜち)大納言は、もうずっと早く亡(な)くなったのでございますから、ごぞんじはありますまい。その夫人が私の姉です。未亡人になってから尼になりまして、それがこのごろ病気なものですから、私が山に籠(こも)ったきりになっているので心細がってこちらへ来ているのです」
僧都の答えはこうだった。
「その大納言にお嬢さんがおありになるということでしたが、それはどうなすったのですか。私は好色からうかがうのじゃありません。まじめにお尋(たず)ね申しあげるのです」
少女は大納言の遺子であろうと想像して源氏がいうと、
「ただ一人娘がございました。亡くなりましてもう十年余りになりますでしょうか、大納言は宮中へ入れたいように申して、ひじょうにだいじにして育てていたのですが、そのままで死にますし、未亡人が一人で育てていますうちに、だれがお手引きをしたのか兵部卿(ひょうぶきょう)の宮が通っていらっしゃるようになりまして、それを宮のご本妻はなかなか権力のある夫人で、やかましくおいいになって、私の姪(めい)はそんなことからいろいろ苦労が多くて、もの思いばかりをしたあげく亡くなりました。もの思いで病気が出るものであることを、私は姪を見てよくわかりました」
などと僧都は語った。それでは、あの少女は昔の按察使大納言の姫君と、兵部卿の宮のあいだにできた子であるにちがいない、と源氏は悟ったのである。藤壺の宮の兄君の子であるがためにその人に似ているのであろうと思うと、いっそう心のひかれるのを覚えた。身分もきわめてよいのがうれしい、愛する者を信じようとせずに疑いの多い女でなく、無邪気な子どもを、自分が未来の妻として教養を与えていくことは楽しいことであろう、それをただちに実行したいという心に源氏はなった。
「お気の毒なお話ですね。その方には忘れ形見(がたみ)がなかったのですか」
なお明確に少女のだれであるかを知ろうとして、源氏はいうのである。
「亡くなりますころに生れました。それも女です。その子どもが姉の信仰生活を静かにさせません。姉は年をとってから、一人の孫娘の将来ばかりを心配して暮しております」
聞いている話に、夕方見た尼君の涙を源氏は思い合せた。
「妙なことをいいだすようですが、私にその小さいお嬢さんを、託(たく)していただけないかとお話ししてくださいませんか。
私は妻について一つの理想がありまして、ただいま結婚はしていますが、普通の夫婦生活なるものは私に重荷に思えまして、まあ独身もののような暮し方ばかりをしているのです。まだ年が釣(つ)り合わぬなどと常識的に判断をなすって、失礼な申し出だと思召すでしょうか」
と源氏はいった。
「それはひじょうにけっこうなことでございますが、まだまだとても幼稚なものでございますから、かりにもお手もとへなど迎えていただけるものではありません。まあ女というものは、良人(おっと)のよい指導を得て一人前になるものなのですから、あながち早すぎるお話ともなんとも私は申されません。子どもの祖母と相談をいたしましてお返辞をするといたしましょう」
こんなふうにてきぱきいう人が僧形(そうぎょう)のいかめしい人であるだけ、若い源氏にははずかしくて、望んでいることをなおつづけていうことができなかった。「阿弥陀(あみだ)様がいらっしゃる堂で、用事のある時刻になりました。初夜の勤めがまだしてございません。すませまして、また」
こういって僧都は御堂の方へ行った。
病後の源氏は気分もすぐれなかった。雨がすこし降り、ひややかな山風が吹いて、そのころから滝の音も強くなったように聞かれた。そして、やや眠そうな読経の声が絶え絶えに響いてくる、こうした山の夜はどんな人にももの悲しく寂(さび)しいものであるが、まして源氏はいろいろな思いに悩んでいて、眠ることはできないのであった。初夜だといったが実際はその時刻よりも更(ふ)けていた。奥の方の室にいる人たちも起きたままでいるのが気配で知れていた。静かにしようと気をくばっているらしいが、数珠(じゅず)が脇息(きょうそく)に触れて鳴る音などがして、女の起居(たちい)の衣摺(きぬず)れもほのかになつかしい音に耳へかよってくる。貴族的なよい感じである。
源氏はすぐ隣の室でもあったから、この座敷の奥に立ててある二つの屏風(びょうぶ)の合せ目をすこし引きあけて、人を呼ぶために扇を鳴らした。先方は意外に思ったらしいが、無視しているように思わせたくないと思って、一人の女がいざり寄って来た。襖子(からかみ)からすこし遠いところで、
「ふしぎなこと、聞き違えかしら」
というのを聞いて、源氏が、
「仏の導いてくださる道は、暗いところもまちがいなく行きうるというのですから」
という声の若々しい品のよさに、奥の女は答えることもできない気はしたが、
「なんのお導きでございましょう、こちらでは何もわかっておりませんが」
といった。
「突然ものをいいかけまして、失敬だとお思いになるのはごもっともですが、
责编:刘卓
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