- 讲师:刘萍萍 / 谢楠
- 课时:160h
- 价格 4580 元
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初草の若葉の上を見つるより
旅寝の袖(そで)も露ぞ乾かぬ
と申しあげてくださいませんか」
「そのようなお言葉をちょうだいあそばす方がいらっしゃらないことは、ごぞんじのようですが、どなたに」
「そう申しあげるわけがあるのだ、とお思いになってください」
源氏がこういうので、女房は奥へ行ってそういった。
まあ艶(えん)な方らしいご挨拶である。女王さんがもうすこしおとなになっているように、お客様は勘違いをしていられるのではないか、それにしても、若草にたとえた言葉がどうして源氏の耳にはいったのであろうと思って、尼君は多少不安な気もするのである。しかし返歌のおそくなることだけは見苦しいと思って、
「枕結(まくらゆ)ふ今宵(こよい)ばかりの露けさを
深山(みやま)の苔(こけ)にくらべざらなん
とても乾く間などはございませんのに」
と返辞をさせた。
「こんなおとりつぎによっての会談は私に経験のないことです。失礼ですが、今夜こちらでごやっかいになりましたのを機会に、まじめにご相談のしたいことがございます」
と源氏がいう。
「何をまちがえて聞いていらっしゃるのだろう。源氏の君にものをいうような晴れがましいこと、私には何もお返辞なんかできるものではない」
尼君はこういっていた。
「それでも冷淡なお扱いをするとお思いになるでございましょうから」
といって、人々は尼君の出るのをすすめた。
「そうだね、若い人こそ困るだろうが私など、まあよい。ていねいにいっていらっしゃるのだから」
尼君は出て行った。
「でき心的な軽率な相談をもちかける者だとお思いになるのがかえって当然なような、こんなときに申しあげるのは私のために不利なんですが、誠意をもってお話しいたそうとしておりますことは、仏様がごぞんじでしょう」
と源氏はいったが、相当な年配の貴女が静かに前にいることを思うと、急に希望の件がもちだされないのである。
「思いがけぬところで、お泊り合せになりました、あなた様からご相談事をうけたまわりますのを前生(ぜんしょう)に根をおいていないことと、どうして思えましょう」
と尼君はいった。
「お母様をお亡(な)くしになりましたお気の毒な女王さんを、お母様のかわりとして私へお預けくださいませんでしょうか。私も早く母や祖母に別れたものですから、私もじっとおちついた気もちもなく今日にいたりました。女王さんも同じようなご境遇なんですから、私たちが将来結婚することを今からゆるしておいていただきたいと、私はこんなことを前からご相談したかったので、今は悪くおとりになるかもしれないときである、折がよろしくないと思いながら申しあげてみます」
「それはひじょうにうれしいお話でございますが、何か話をまちがえて聞いておいでになるのではないかと思いますと、どうお返辞を申しあげてよいかに迷います。私のような者一人をたよりにしております子どもが一人おりますが、まだごく幼稚なもので、どんなに寛大なお心ででも、将来の奥様にお擬(ぎ)しになることはむりでございますから、私の方でご相談に乗せていただきようもございません」
と尼君はいうのである。
「私は何もかもぞんじております。そんな年齢の差などはお考えにならずに、私がどれほどそうなるのを望むかという熱心の度をごらんください」
源氏がこんなにいっても、尼君の方では女王の幼齢なことを知らないでいるのだと思う先入見があって、源氏の希望を問題にしようとはしない。僧都が源氏の部屋の方へ来るらしいのを機会に、
「まあよろしいです。ご相談にもうとりかかったのですから、私は実現を期します」
といって、源氏は屏風(びょうぶ)をもとのようになおして去った。もう明け方になっていた。法華(ほっけ)の三味(さんまい)をおこなう堂の尊い懺法(せんぽう)の声が山おろしの音にまじり、滝がそれらと和する響きをつくっているのである。
吹き迷ふ深山(みやま)おろしに夢さめて
涙催す滝の音かな
これは源氏の作。
「さしぐみに袖濡(ぬ)らしける山水に
すめる心は騒ぎやはする
もう慣れきったものですよ」
と僧都は答えた。
夜明けの空はじゅうにぶんに霞(かす)んで、山の鳥声がどこで鳴くとなしに多く聞えて来た。都人には名のわかりにくい木や草の花が多く咲き、多く地に散っていた。こんな深山の錦(にしき)の上へ鹿(しか)が出てきたりするのも珍しいながめで、源氏は病苦からまったく解放されたのである。聖人は動くことも容易でない老体であったが、源氏のために、僧都の坊へ来て護身の法をおこなったりしていた。嗄々(かれがれ)な、ところどころが消えるような声で経を読んでいるのが身にしみもし、尊くも思われた。経は陀羅尼(だらに)である。
京から源氏の迎えの一行が山へついて、病気の全快された喜びが述べられ、御所のみ使いも来た。僧都は珍客のためによい菓子を種々(くさぐさ)つくらせ、渓間(たにま)へまでも珍しい料理の材料を求めに人を出して、饗応(きょうおう)に骨を折った。
「まだ今年じゅうは山籠(やまごも)りのお誓いがしてあって、お帰りのさいに京までお送りしたいのができませんから、かえってご訪問が恨めしく思われるかもしれません」
などといいながら僧都は源氏に酒をすすめた。
「山の風景にじゅうぶん愛着を感じているのですが、陛下にご心配をおかけ申すのももったいないことですから、またもう一度、この花の咲いているうちに参りましょう。
宮人(みやびと)に行きて語らん山ざくら
風より先きに来ても見るべく」
歌の発声も態度もみごとな源氏であった。僧都が、
優曇華(うどんげ)の花まち得たるここちして
深山桜に目こそ移らね
というと源氏は微笑しながら、
「長いあいだに、まれに一度咲くという花はごらんになることが困難でしょう。私とは違います」
といっていた。巌窟(がんくつ)の聖人は酒杯(さかずき)を得て、
奥山の松の戸ぼそを稀(まれ)に開(あ)けて
まだ見ぬ花の顔を見るかな
といって泣きながら源氏をながめていた。聖人は源氏を護(まも)る法のこめられてある独鈷(どっこ)を献上した。それを見て、僧都は聖徳太子(しょうとくたいし)が百済(くだら)の国からお得になった金剛子(こんごうし)の数珠(じゅず)に宝玉の飾りのついたのを、その当時のいかにも日本の物らしくない箱に入れたままで、薄物の袋に包んだのを、五葉(ごよう)の木の枝につけた物と、紺瑠璃(こんるり)などの宝石の壺へ薬を詰めた、幾個かを藤や桜の枝につけた物と、山寺の僧都の贈物らしいものを出した。源氏は巌窟の聖人をはじめとして、上の寺で経を読んだ僧たちへの布施(ふせ)の品々、料理の詰合せなどを京へとりにやってあったので、それらが届いたとき、山の仕事をする下級労働者までがみな相当な贈物を受けたのである。なお僧都の堂で誦経(ずきょう)をしてもらうための寄進もして、山を源氏の立って行く前に、僧都は姉のところに行って源氏からたのまれた話をとりつぎしたが、
「今のところではなんともお返辞の申しようがありません。ご縁がもしもありましたなら、もう四五年して改めておっしゃってくだすったら」
と尼君はいうだけだった。源氏は前夜聞いたのと同じような返辞を僧都から伝えられて、自身の気もちの理解されないことを嘆いた。手紙を僧都の召使いの小童にもたせてやった。
夕まぐれ仄(ほの)かに花の色を見て
今朝(けさ)は霞の立ちぞわづらふ
という歌である。返歌は、
まことにや花の辺(あた)りは立ち憂(う)きと
霞(かす)むる空のけしきをも見ん
こうだった。貴女らしい品のよい手で飾り気(け)なしに書いてあった。
ちょうど源氏が車に乗ろうとするころに、左大臣家から、どこへ行くともなく源氏が京を出かけて行ったので、その迎えとして家司(けいし)の人々や、子息たちなどがおおぜい出て来た。頭(とうの)中将、左中弁(さちゅうべん)、またそのほかの公達(きんだち)もいっしょに来たのである。
「こうしたご旅行などにはぜひお供をしようと思っていますのに、お知らせがなくて」
などと恨んで、
「美しい花の下で遊ぶ時間がゆるされないで、すぐにお帰りのお供をするのは惜しくてならないことですね」
ともいっていた。岩の横の青い苔(こけ)の上に新しく来た公達は並んで、また酒盛りが始められたのである。前に流れた滝も情趣のある場所だった。頭中将は懐(ふところ)に入れてきた笛を出して吹き澄ましていた。弁は扇拍子(おうぎびょうし)をとって、「葛城(かつらぎ)の寺の前なるや、豊浦(とよら)の寺の西なるや」という歌をうたっていた。この人たちはけっして平凡な若い人ではないが、悩ましそうに岩へ寄りかかっている源氏の美にくらべて、よい人はだれもなかった。いつも篳篥(ひちりき)を吹く役にあたる随身がそれを吹き、またわざわざ笙(しょう)の笛をもちこんで来た風流好きもあった。僧都が自身で琴(きん)(七絃の唐風の楽器)を運んで来て、
「これをただちょっとだけでもお弾(ひ)きくだすって、それによって、山の鳥に音楽のなんであるかを知らせてやっていただきたい」
责编:刘卓
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