てゆくこと、つまりは「道」

　21孔徳（こうとく）の容（よう）（「道」の体験⑷）

偉大な「徳」をそなえた人のありさまは、ただひたすら「道」に従うばかりだ。「道」というものは、まことにおぼろげで、とらえどころがない。おぼろげでとらえどころはないが、そのぼんやりとしたなかに何かの存在がある。とらえどころがなくておぼろげではあるが、そのぼんやりとしたなかに何かのかたちがある。奥深くてほの暗い、そのかすかななかに霊妙な精気が動いている。その精気はとても純粋で、その純粋な動きのなかに確かなものがある。

今の時代からはるかなむかしにさかのぼるまで、「道」とかりに名づけたその名は消えることがない。そして、その名は、万物の起こるそもそもの始源を統（す）べくくってくれるのだ。万物の始源がそのとおり始源であるということが、どうしてわたしにわかるのか。この「道」という名によってである。

孔徳（こうとく）の容（よう）は、惟（た）だ道に是れ従う。道の物たる、惟（こ）れ恍（こう）惟れ惚（こつ）。恍たり惚たり、其（そ）