英知を絶ちきって知恵分別(ふんべつ)をすて去るなら、人民の利益は百倍にもなるであろう。仁愛を絶ちきって正義をすて去るなら、人民はまことの孝心と慈愛にたちかえるであろう。小手先の技巧を絶ちきって便利なものをすて去るなら、盗賊(とうぞく)どもはいなくなるであろう。
P71 老子道徳経 上篇
以上の三つのことは、これではまだことばが足りないだろうと思う。そこでさらに根本的なことばをここにつづけておくことにしよう。
飾りけのない素地(きじ)のままを外にあらわし、伐(き)り出したままの樸(あらき)のような純朴さを内に守れ。自分かってな利己心をおさえ、世俗的な欲望を少なくせよ。外から学ぶことをきっぽりとやめ、くよくよと思いわずらうのをやめよ。
聖を絶(た)ち智を棄(す)つれば、民(たみ)の利は百倍せん。仁を絶ち義を棄っれば、民は孝慈(こうじ)に復(ふく)せん。巧を絶ち利を棄つれば、盗賊有ること無からん。
此の三者、以て文(ぼん)足らずと為(な)す、故に属(つ)ぐ所あらしめん。
素(そ)を見(あら)わし樸(ぼく)を抱(いだ)け。私を少なくし欲を寡(すく)なくせよ。学を絶ち憂(うれ)いを無くせよ。
絶聖棄智、民利百倍。絶仁棄義、民復孝慈。絶巧棄利、盗賊無有。
此三者、以為文不足、故令有所属。
見素抱樸、少私寡欲、絶学無憂。
「仁義」や「智慧」(ちえ)を第二義的なものだとした前の章をうけて、それらをきっばりと棄ててしまえという。人民のことがいわれているので明らかなように、政治的な立場からの発言で
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