有声日语：ごめんなさいが言えなくて

　　あの日の朝、二人の家で飼っている山羊に赤ちゃんが生まれました。生まれたばかりの子山羊が小さくてふわふわでした。そして、小さな足をぶるぶる震わせながら、懸命に地面に立ち続けていました。
「ジェンのせいだぞ。」

　　この日から、二人は大喧嘩を始めました。顔を合わせると口げんかを始め、目が合うとすかさず逸らしてしまうのです。そんな日が何日か続きました。

　　「ああ～お兄ちゃんいないとつまんないなあ。」ジェンは独りで遊んでいましたが、何をしてもすぐに飽きてしまいます。

　　ジェンは急に寂しくなりました。そして、ジェミニを探して村中を走り回ったのです。「お兄ちゃん、どこ？」夕方になってもジェミニはみつかりません。ジェンは泣きそうになりました。と、その時です。「おい、ジェンどこだ？」ジェミニの声が聞こえました。ジェンは声のする方へ駆け出しました。
「この前はごめん。」
「やっぱり、お兄ちゃんと一緒に遊ぶほうが楽しいな。」

　　お仕舞い。